記事一覧

『アイヌ神謡集』2作品。知里幸惠

 知里幸惠編訳『アイヌ神謡集』についての思いを記し てきました。 彼女の魂を込めた神謡から短い作品2篇を、ここ「愛(かな)しい詩歌」に咲かせます。 2篇とも、幸惠がローマ字表記を学びつつ神謡の言葉の音を文字に したものを先に、続けてその神謡の心を日本語の表現として創作した作品を掲載しています。Terkepi yaieyukar, “Tororo hanrok hanrok!”蛙が自らを歌った謡「トーロロ ハンロク ハンロク!」 これはアイヌ神...

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口承文芸としてのアイヌ神謡

 今回は、口承の文化・文芸としてのアイヌの神謡を見つめなおします。 狩猟生活に生き文字を持たなかったアイヌの人たちは、口承の文化・文芸の豊かな森を受け継いできました。節を持たずに語り継がれた昔話もこの他にありますが、私の最も好きで、アイヌの心の詩だと感じている神謡について考えます。 知里真志保(ちり ましほ)は、「神謡について」で、「折返(リフレイン)を以て謡われるということが,神謡においては必須...

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アイヌ神謡の優しさの豊かさ

 知里幸惠(ちり ゆきえ)の『アイヌ神謡集』をより深く心に響かせるために、まずアイヌ神謡(カムイユーカラ)の特徴と素晴らしさを考えます。 幸惠の実弟の知里真志保(ちり ましほ)の名前は彼女の「日記」や「手紙」にあって親しみを覚えますが、彼は優れたアイヌ文化研究者となりました。彼の「神謡について」はその根本を教えてくれます。 今回は、私がアイヌの人たちの神謡の何をどうして好きなのか、大切に感じるのか...

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詩「大阪の子どものうた」をHP公開しました

 ホームページの「虹・新しい詩」に、新しい詩「大阪の子どものうた」を公開しました。詩「大阪の子どものうた 河内の子どもやってん」詩「大阪の子どものうた 涙の補欠」お読みいただけると嬉しく思います。...

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知里幸惠(三)遺稿「手紙」

 前回の遺稿「日記」に記したように、知里幸惠(ちり ゆきえ)は、『アイヌ神謡集』の原稿が仕上がり印刷所へと送られた年の、大正十一年(1922年)九月十九日、享年十九歳で亡くなりました。亡くなった年の六月から九月の「日記」と「手紙」が遺稿集として出版されています。 遺稿の「手紙」は亡くなった直前まで記されていて、両親への最後の手紙の日付は九月十四日付、亡くなった日の5日前です。彼女がどんなに生きたかったか...

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知里幸惠(二)遺稿「日記」

 知里幸惠(ちり ゆきえ)は、『アイヌ神謡集』の原稿が仕上がり印刷所へと送られた年の、大正十一年(1922年)九月十九日、享年十九歳で亡くなりました。(出版は翌年です。) 亡くなった年の六月から九月の「日記」と「手紙」が遺稿として出版されています。公表を考えていなかったそこに記されている言葉、病と闘いながら、アイヌを思い、肉親を思う、心を痛める優しい生の声の切実さに、心を揺さぶられます。 『アイヌ神謡集...

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『アイヌ神謡集』序、知里幸惠(一)

 アイヌの神謡、カムイユーカラは、とても美しい心の詩だと私は感じます。口承されてきた神の言葉で謡われている心はとても優しく、慈しみに満ちています。いのちを深く豊かに捉えたアイヌの世界観を私は学びとりたいと思っています。 これから何回かにわたって、アイヌの神謡と、その素晴らしさを伝えてくださったアイヌの方たちについて、私の思いを書き記します。 私が最初に出会えたのは、知里幸惠(ちり ゆきえ)編訳『ア...

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ケプラーの詩心(三)星の音楽

 ケプラーの言葉「地球はミ・ファ・ミと歌う。」に私は心うたれます。 彼の詩心、彼の祈りに、私は共鳴し、響きあう音楽を奏でたいと願っています。これまでも、これからも。 これまで私が授けられ発表できた星の音楽の詩は、ホームページの章『あどけない心の森 星のこもりうた』にまとめています。(リンクしていますのでお読み頂けます。) 目次詩「星の愛 星の祈り」(連詩「愛と祈りの星魂(ほしだま)の花」)詩「星の...

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ケプラーの詩心(二)天体の音楽と祈り

 ケプラーは生涯にわたる探求で見出した天文学の法則を叙述する著作に、彼の心では切り離せず一体となっている詩心と祈りの調べを織り込めています。前回『世界の調和』の全体イメージをまとめたことを受け、彼が本当に探していたもの、伝えたかったものは何だったのかを考えます。 引用は、『世界の調和』(ヨハネス・ケプラー、島村福太郎訳、『世界大思想全集(社会・宗教・科学31)』所収、河出書房新社、1963年)によります...

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ケプラーの詩心(一)天体の音楽と祈り

 詩についてのこのエッセイで、どうしてケプラー?と思われる方にも、彼の天文学に詩心が息づいていること、彼の著述には祈りの調べがあることを伝えられたらと思います。 ヨハネス・ケプラーは天文学の開拓者として三つの法則に名が添えられ、彼の法則の暗記とともに通り去られがちです。 第一、第二法則は『新しい天文学』(1609年)に、第三法則は『世界の調和』(1619年)という豊かな著作で述べられていますが、科学は原典...

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新しい連作詩「優しさの花」をHP公開しました

 ホームページの「虹・新しい詩」に、新しい連作詩「優しさの花」を公開しました。優しさの花(ひぃ)ここにいて優しさの花(ふぅ)芽吹いたよ優しさの花(みぃ)お花は咲いたよ優しさの花(よぅ)さえずる小鳥なんの鳥優しさの花(いつ)星のお花優しさの花(むぅ)もみじの赤ちゃん優しさの花(なな)うぐいすが好き優しさの花(やぁ)こころ花優しさの花(ここの)ここにいるよお読みいただけると嬉しく思います。...

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夏目漱石『夢十夜』の詩心

 前回、アンデルセンの小説翻訳について森鴎外のことを記しました。 明治時代のもう一人の文豪、夏目漱石について今回は記します。夏目漱石とアンデルセンの直接の影響関係があるかどうか私は知りません。ここに記すのは、夏目漱石とアンデルセンの作品に響きあって感じられる詩心のことです。 アンデルセンの『絵のない絵本』を想うとき、私の心には、夏目漱石の『夢十夜』が自然に心に浮かんでしまいます。十夜からなる短編小...

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アンデルセンの『即興詩人』

 『絵のない絵本』は月が語りかけてくれるやわらかな水彩画でしたが、アンデルセンは若い情熱があふれてロマンが強く香り、極彩色の濃淡が波打つ油絵のような小説『即興詩人』を描き切る力量をもつ作家でした。 この小説を読むと、アンデルセンは本当に詩人だと強く感じます。 明治の文豪・森鴎外の良さを私はわからずにいましたが、『即興詩人』の訳文を読むと、鴎外は熱く強い魂と意思をもつ文人だったのだと素直に感じました...

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月の光と詩の絵本

 私はアンデルセンの『絵のない絵本』を、詩を書き出してからもずっと大切に心に抱いてきました。 月が言葉の絵の具が描いた三十三の短いお話優しくを語りかけてくれて、読んでいる時は月のひかりに私の心は自然に染まり浸され泳いでいます。 次のような何気ない言葉に、アンデルセンの豊かな詩心が溢れ出していて、言葉が詩の響きをもつと絵本になるんだと教えてくれます。◎原文引用:第一夜の結びの文章。「あの人は生きてい...

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アンデルセンの『マッチ売りの少女』

 ハンス・クリスチアン・アンデルセンの童話が私はとても好きです。「マッチ売りの少女」や「みにくいアヒルの子」など幼心にともった小さな火が、ずっと消えずに灯り続けてくれていると感じます。 心優しい詩人の山下佳恵さんは「マッチ売りの少女」の詩を書かれています。   詩「マッチ売りの少女」 山下さんの詩句「最後まで読もうと思っても/涙でぐちゃぐちゃになって/見えないんだ文字が」に、私も心の重なりを感じます...

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詩人・村山精二さんのHP『ごまめのはぎしり』をリンク

 日本詩人クラブのホームページや日本ペンクラブ電子文藝館も作られていらっしゃる詩人・村山精二さんの詩集・ホームページ『ごまめのはぎしり』を私のホームページにリンクしました。 村山さんの笑顔をまんなかに、詩を愛する人たちの心の花がいちめんに咲いていて、詩はいいって、あたたかく、うれしい気持ちになれます。...

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歌え。歌道と物のあはれ

  本居宣長(もとおりのりなが)の『紫文要領(しぶんようりょう)』を通して、『源氏物語』をより深く読み感じ取ろうとしています。引用文の出典は、『紫文要領(しぶんようりょう)』(子安宣邦 校注、岩波文庫、2010年)です。章立ての「大意の事」と「歌人の此の物語を見る心ばへの事」から任意に引用(カッコ内は引用箇所の文庫本掲載頁)しています。 最終回は、「歌道と物のあはれ」を宣長がどのようにとらえていたか、...

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歌物語と善悪と信仰

 本居宣長(もとおりのりなが)の『紫文要領(しぶんようりょう)』を通して、『源氏物語』をより深く読み感じ取ろうとしています。引用文の出典は、『紫文要領(しぶんようりょう)』(子安宣邦 校注、岩波文庫、2010年)です。章立ての「大意の事」と「歌人の此の物語を見る心ばへの事」から任意に引用(カッコ内は引用箇所の文庫本掲載頁)しています。 6回目の今回は、「歌物語と善悪と信仰」についての宣長の考えを起点に...

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神谷恵詩集『てがみ』の詩4篇をHPで紹介しました

 詩人・神谷恵さんの詩集『てがみ』(本多企画、1993年)所収の詩4篇「生の良心」、「病室の海 霊安室から」、「てがみ6 神様の石」、「茜色のバス停にて」をホームページの「好きな詩・伝えたい花」で紹介しました。...

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神谷恵の小説『家郷』

 作家の神谷恵は2002年7月に小説『家郷』(新風舎)を発表しました。詩から小説へと表現の器を変えたのはなぜか、私はそうしなければ伝えられないものがあるからだ、と受止めました。また詩人の魂がどのように小説の言葉となり生かされていのか、感じ取りたいと思います。◎縁(えにし) この小説に繰り返し表れる大切な言葉に、家郷、安心して帰れる家があることがどれほどお年寄りに必要か、という言葉とともに、縁(えにし)、...

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年同上
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年同上
「愛(かな)」1993年同上
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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