記事一覧

広島。原爆。人間の、怒りと祈りの詩。

 1945年8月6日。アメリカが原子爆弾を投下したとき、広島の町では、ひとが生き、生活していました。  無言で亡くなっていった方、こころとからだに深い傷を負わされた方、ひとりひとりのひとを、命をみつめ、語りかけ、思いやり、思いをともにしようと懸命に、歌い、伝えてくれた詩人の詩を読み返すことは、苦しくてもとても大切です。 怒り、祈りを、忘れず、願いへと、これから結んでいくためには。 ひとりひとりのひとには...

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詩人・尼崎安四。どのように詩を創るか。

 詩人の尼崎安四と俳人の山田句塔を中心にエッセイを記してきました。そのまとめとして前回は、尼崎安四の手紙の言葉から、詩とは何か、記しました。 今回は、尼崎安四を師と仰ぐ詩人・諫川正臣の文章を通して、彼がどのように詩を創作したかを見つめ、創作方法について私の考えを記します。● 以下、諫川正臣の文章、詩誌「黒豹」119号編集後記からの引用です。★ 安四は詩を批評する時、真剣な表情になった。一行ごとに、一字...

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詩人・尼崎安四の手紙。詩とは何か。

 詩人の尼崎安四と俳人の山田句塔を中心にエッセイを記してきました。 そのまとめとしての二回は、尼崎安四の詩についての考え、詩と向き合う姿を見つめながら、私の詩想を書き添えていきます。 まず今回は、尼崎安四の詩についての考えが鮮やかに要約されている、彼が山田句塔へ宛てた手紙を引用したうえで、私の詩についての詩想を記します。出典は、細井冨貴子『哀歌・戦友』「季刊銀花」第75号です。● 以下、引用「(前略)...

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『定本尼崎安四詩集』と山田句塔、上田三四二、弥生書房。

 詩人・尼崎安四と彼の詩を、世に伝えようとした戦友、友人のことを前回に続き記します。 自由律俳句の俳人・山田句塔もその一人、安四の戦友です。 句塔は自分が主宰した雑誌「いずみ」(1968年・昭和五十三年四月に第一号、1988年・昭和六十三年二月・終刊号)の「終刊の御挨拶 山田利三」でその思いを次のように記しています。細井冨貴子『哀歌・戦友』「季刊銀花」第75号から引用します。● 以下、引用「(略)・・・・・・本誌発...

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詩人・尼崎安四。一兵卒として。戦友、戦後。

 俳人・山田句塔の自由律俳句を二回にわたり感じとりました。今回は、彼の戦友であった詩人・尼崎安四について記します。(尼崎安四と彼の詩については、次のエッセイでも紹介しています。ご覧いただけたら、嬉しく思います。     詩人・尼崎安四(一)。詩はいのちの生き様。  詩人・尼崎安四(二)。詩は愛。)。 最初に、心を深く打つ彼の詩「お母さん泣くのはよして下さい」の詩行「あなたの子供はほんたうに正直に生...

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詩人・尼崎安四(二)。詩は愛。

 詩人・尼崎安四の詩を今回もみつめます。詩人はこころの奥行き、拡がり、高み、深み、過去、未来、瞬間、そのさまざまな表情に輝く個性を作品に結晶化します。 だから一人の詩人が、豊かな個性をもつ、子どもを生み出します。尼崎安四にも、仏教をテーマとした詩、いのちと死を見つめる詩、象徴詩、それぞれの輝きと深まりがあり、共感します。 彼の作品群のなかで、私がいちばん好きだと感じ、今回紹介するのは、愛の詩です。...

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詩人・尼崎安四(一)。詩はいのちの生き様。

 今回と次回は、詩人・尼崎安四(あまさき・やすし)の、とても心に響く詩を紹介します。出典は『定本 尼崎安四詩集』(1979年、彌生(やよい)書房)です。 彼のような本当の詩人が忘れられ埋もれてしまうことは、詩を愛する者にとってとても不幸なことです。それだけにこの本を出版された出版社の方、そして尽力された詩人や友人の方を尊敬します。その方々、高橋新吉、富士正晴、諌川正臣らが附録に寄せている文章はどれも熱...

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新川和江の詩。詩は花。ひばりのように、歌え。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしてきました。。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記してきましたが、今回が最終回です。 今回の詩人は、新川和江(1929年昭和4年生まれ)です。 前...

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吉原幸子の詩。純真な抒情、願いを込めて。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、吉原幸子(1932年昭和7年~2002年平成4年)です。詩集には『幼年連祷』『...

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山本かずこの詩。愛と性と美。裸身の問い。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、山本かずこ(やまもと・かずこ、1952年昭和27年生まれ)です。 略歴には...

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立原えりかの詩。好き、愛してる。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、立原えりか(たちはら・えりか、1937年昭和12年生まれ)です。 略歴には...

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滝いく子の詩。少女の眼を焼いた映像。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、滝いく子(たき・いくこ、1934年昭和9年生まれ)です。 履歴には、詩集...

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征矢泰子の詩(二)。はなのようだ。娘に。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 前回に続き、詩人征矢泰子(そや・やすこ、1934年昭和9年~1992年平成4年)の詩を見つめます。出典は『女たちの名詩集』(新川和江編、1992年新装版、思潮社)です。 今回の2篇、詩「娘に」と詩「しるし」は、母親が娘を思いやる作品です。 ひらがなは、生まれた当初から「おんなもじ」と呼ばれたように、女性の身体のやわらかでし...

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征矢泰子の詩(一)。かぎりなくすきとおった、詩。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は征矢泰子(そや・やすこ、1934年昭和9年~1992年平成4年)です。 略歴には...

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岸本マチ子の詩。お父さんなんか。娘の涙。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は岸本マチ子(1934年昭和9年生まれ)です。 略歴には、詩集『コザ中の町ブ...

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久坂葉子の詩。生きている時に。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は久坂葉子(くさか・ようこ、1931年昭和6年~1952年昭和27年)です。 略歴...

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塔和子の詩。雲の気持ち。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、塔和子(とう・かずこ、1929年昭和4年生まれ)です。 略歴には、1944年...

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西岡寿美子の詩。おかやん。方言の肉声が沁みる詩心。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、西岡寿美子(にしおか・すみこ、1928年昭和3年生まれ)です。 略歴には...

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三井ふたばこの詩。愛(いと)しさの絵。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』ささ(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は三井ふたばこ(みつい・ふたばこ、1919年大正8年~1990年平成2年)です...

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小川アンナの詩。やわらかなからだとこころ。

 近代詩が生まれた明治時代からの約百年間に創られた女性の詩人の詩をみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされる詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は小川アンナ(おがわ・アンナ、1919年大正8年生まれ)です。 略歴には、詩...

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山下千江の詩。涙うかぶ、心うたれる詩。

 この約百年間に女性の詩人が生み出し伝えてくれた詩に心の耳を澄ませ聞きとっています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされた詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は山下千江(やました・ちえ、1916年大正5年生まれ)です。 略歴には、詩集『印...

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林芙美子の詩。本物の口語、自由な心の詩が生まれた。

 この約百年間に女性の詩人が生み出し伝えてくれた詩に心の耳を澄ませ聞きとっています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされた詩について、詩想を記しています。 今回みつめる詩人は、林芙美子(はやし・ふみこ、1903年明治36年~1951年昭和26年)です。 ...

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金子みすゞの詩(二)。絵と、歌と、詩情と。

 前回につづき、金子みすゞの歌に心の耳を澄ませます。 『金子みすゞ童謡集』(編解説・矢崎節夫、1998年、ハルキ文庫)、底本『新装版・金子みすゞ全集』(JULA出版局、1984年)を出典にしました。口語表記です。 彼女の豊かな詩の表情の魅力を、少し違う角度から見つめてみます。 たとえば、つぎの詩は短い詩行ですが、とてもひろい世界を映し出しています。優れた絵や映像のような詩です。 川岸の花から川のながれのま...

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金子みすゞの詩(一)。鈴になって、小鳥になって。

この約百年間に女性の詩人が生み出し伝えてくれた詩に 心の耳を澄ませ聞きとっています。生年の順を基本にしています。 今回と次回は金子みすゞ(1903年明治36年~1930年昭和5年)です。以前から書き記したい気持ちがあった好きな詩人ですので出典も変え、『金子みすゞ童謡集』(編解説・矢崎節夫、1998年、ハルキ文庫)、底本『新装版・金子みすゞ全集』(JULA出版局、1984年)からの紹介です。読みやすいよう口語表記になって...

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中田信子の詩。性愛の喜びを歌う。

 約100年ほど前、明治時代からの詩を、女性の詩人の作品という視点でみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社『)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされた詩について、詩想を記しています。 今回みつめる詩人は、中田信子(なかた・のぶこ、1902年明治35年~)です。 詩集『処...

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武内利栄の詩。悲歌の、感動。

 約100年ほど前、明治時代からの詩を、女性の詩人の作品という視点でみつめなおしています。『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされた詩について、詩想を記しています。 今回みつめる詩人は、武内利栄(たけうち・りえ、1901年明治34年~1958年昭和33年)です。...

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伊藤野枝の詩。若い感情を強く。

 約100年ほど前、明治時代からの詩を、女性の詩人の作品という視点でみつめなおしています。 『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録されている詩人の一作品・一輪の花たちのなかから、私が好きな、木魂する思いを揺り起こされた詩について、詩想を記しています。 今回の詩人は、伊藤野枝 (いとう・のえ、1895年明治28年~1923年大正12年)です。 こ...

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英美子の詩。あなたの母を念はないか。

 20世紀のはじめ近代詩が生まれた時代からの、女性の詩をみつめています。『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)から、好きな詩、考えたいテーマの光りを放っていると感じた詩について、私の詩想を記します。 今回の詩人は英美子(はなぶさ・よしこ、1892年明治25年~1983年昭和58年)、この詩人とも初めて出会い、初めて作品を読みました。 『美子恋愛詩集』...

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大塚楠緒子の詩。女心に咎ありや。

 女性の詩人の作品をみつめています。今回からは近代詩(新体詩)が生れた明治にもう一度さかのぼってみます。中公文庫の『日本の詩歌』や筑摩書房の『現代詩集』にあまりにも女性の詩が欠けている偏りについて記しましたが、今回次の特集を読んで私のその感覚は間違っていないと感じました。 今回からしばらくは『ラ・メール 39号、特集●20世紀女性詩選』(1993年1月、編集発行人:新川和江・吉原幸子、発売:思潮社)に採録さ...

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茨木のり子の詩(二)。感受性の海の真珠

 今回も詩人・茨木のり子の詩を、茨木のり子詩集『落ちこぼれ』を通して見つめます。 彼女の詩の、子ども心につながる感性と、戦争・時代への眼差しの深さを前回記しました。 もうひとつ、彼女の詩をとても個性的に輝かせているのは、心を直撃する言葉のメッセージが響いていることです。 私は、詩という文学形式の魅力は、作品全体で大きく心を包むように伝えるものと、詩句一言・詩行一行で鋭く時めかせ突き刺すもの、この二...

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年同上
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年同上
「愛(かな)」1993年同上
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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