田川紀久雄さんの
詩語りを、3月10日鶴見の東鶴堂ギャラリーで、初めて聞かせて頂くことができました。今回感じとることができ、考えたことを記します。参加した催しのプログラムは次の通りです。
「第4回 いのちを語ろう ―生と死をみつめて―」。語り手:
田川紀久雄、坂井のぶこ。
高畑耕治詩集『死と生の交わり』より、田川紀久雄。
金子みすゞ詩集より、坂井のぶこ。
宮沢賢治「韮露青」、坂井のぶこ。
レイチェル・カーソンの手紙より、坂井のぶこ。
定本
尼崎安四詩集より、「せきれい」田川紀久雄、「死の微笑」坂井のぶこ。
村上昭夫『動物哀歌』より、「雁の声」田川紀久雄、「病」坂井のぶこ。
田川紀久雄詩集『神話の崩壊』より、田川紀久雄。
坂井のぶこ『浜川崎から』より、坂井のぶこ。
宮沢賢治「永訣の朝」と「雨ニモマケズ」の二重奏、田川紀久雄・坂井のぶこ。
今回この催しに参加して良かったのは、詩の言葉、音と響き、声で伝えるということを、考え直す強いきっかけを与えられたことです。同時に翌日の震災の日を思い、会場にいらっしゃらない、亡くなられた方々への鎮魂、苦しまれていらっしゃる被災者の方々への励ましの思いも込められた詩語りとされている詩人の姿勢を、私はとても大切に思います。
田川さんの腹の底から振り絞るような太い低音は、表情豊かな個性そのものが地の底をも震わせるような力強い言葉の音楽でした。対照的に坂井のぶこさんの、遥か彼方へ響き昇ってゆく澄んだ高音は、心も空へと運んでくれる音楽でした。
田川さんはご出身の
新潟の瞽女(ごぜ)さんから幼少期に鮮烈な記憶と影響を受け学ばれたそうです。(盲目の女性の旅芸人さんの声、強烈な響きだったろうと、想いを馳せます。)
お二人による、宮沢賢治
「永訣の朝」と「雨ニモマケズ」の二重奏は、両極の音声による響き合いが強く心に木霊を呼び覚ましてくれました。
田川さんは今回私の作品も語ってくださいました。詩語りは、本の活字を拾い読む読書とは異なる、新しい創作芸術だと私は思います。田川さんの声となった詩の言葉は、私にとってとても新鮮な姿、表情であらわれてくれました。心から感謝しています。
また、お二人が教えてくださった詩人・尼崎安四の詩を、これから知っていきたいと考えています。
次回の詩語りは、
坂井のぶこさんのご詩集『浜川崎から』の上梓される5月の開催を予定されていますので、詳細がわかりましたら、またお知らせします。
田川さんはご自身のブログ
『田川紀久雄日記・漉林書房通信』で詩語りに抱かれている情熱、毎日の修練を書かれていらっしゃって、私は共感をおぼえます。こちらもお読みいただければと思います。
- 関連記事
-
- https://blog.ainoutanoehon.jp/tb.php/298-05f8f594
トラックバック
コメントの投稿