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古代ギリシアの著作に思うこと。

ギリシア哲学(自然学、政治学、倫理学)求めるものは真と偽。科学の源。倫理さえ独断、観想、傍観的な学説。哲学が生き様の異端哲人は際立つ。
ギリシア文学(悲劇。詩)善と悪。運命・宿命と選択。美と醜。抒情。
宗教と境界のない悲と苦と情を知る人間がいる。

日々の囚われの時間が濁流のように息苦しいとき、古典の読書は、こころを空へ羽ばたかせ、辺りの景色を見渡し風を感じる自由を思い出させてくれます。最近読めて良かった古典。
「ソクラテスの弁明」「クリトン」。ともに作者はプラトン。
よく生きること、正義、社会、国家。考えさせられます。講談社学術文庫の訳が読みやすく思いました。

プラトン「パイドン―魂の不死について」(岩田靖夫訳、岩波文庫)を久しぶりに少しずつ読み返しています。ピタゴラス哲学やオルフェウス教の影響をうけたといわれる輪廻転生やイデアについての言葉は、真理かどうか、信仰するかどうかの問いかけをはらみつつも、わたしの心には親しく感じられます。

ソ「クラテス裁判」(ストーン著、永田康昭訳、法政大学出版局)を読みました。民主政と寡頭貴族政、都市国家間の同盟と戦争に揺れ動くアテーナイに生きたソクラテス、プラトンの、直接民主制、言論の自由に否定的で奴隷制や他都市の虐殺に無関心な氷のような横顔。幻滅し、生き方を考えさせられます。

「ギリシア抒情詩選」(呉茂一訳)はテオクリトスの神話モチーフの牧歌詩がよい、豊かな森に誘い込まれる。
「 花冠」(同)はサッポオ/サッフォーの「アプロディーテー禱歌」の祈りの美しい調べ。神聖で心に響く。
「ピエリアの薔薇 」(沓掛良彦訳)アニュテーの鮮やかな情景詩に光と海と空を感じる

ギリシア悲劇「トロイアの女」エウリピデス (松平千秋訳、ちくま文庫)。
トロイア戦争に敗れた立場の女性、子どもの惨劇、戦争の悪を描く。
紀元前416年当時のアテナイによるメロス島での住民の虐殺、奴隷化が作品創作動機。
アイスキュロス「ペルシア人」の戦勝ギリシア賛歌とは視点が対極。良い作品。

「ギリシア哲学者列伝」 (ディオゲネス・ラエルティオス、加来彰俊訳、岩波文庫上中下)。2千5百年から2千年ほど前の地中海世界。真善美を求めずにはいられない、感じ考える人の生きざまは、今も少しも変わらないと教えられ励まされます。時に奇行、変人、社会不適合者とみなされようと惹かれます。
夜空の星を眺めて足元の溝に落っこちたタレス、樽を住居としたディオゲネス、豆を恐れたピュタゴラス。おかしみのある逸話に共感し、法による社会、民主的な社会をもとめ独裁者に態度と言葉で立ち向かい生き死んだ哲学者の姿にも教えられます。権力者と富におもねり埋没した人たちも描かれています。

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「純心花」
2022年イーフェニックス
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年イーフェニックス
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年土曜美術社出版販売
「愛(かな)」1993年土曜美術社出版販売
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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