『2012 福島県現代詩集 第33集 ―銀河の声 心の声 ふくしまの声―』
(福島県現代詩人会、2011年4月11日刊)。 この新しいアンソロジーを読み終えて、私が強く感じ、考えずにはいられなかったもうひとつのことは、こんなにどうしようもない状況のなかからでさえ
美しい詩は生まれる、心の感動は伝えられるという、悲しい喜びです。
起こったこと、その深刻さに押しつぶされそうになるなかでも、詩人であることに徹して、ひとりの個性の
書かずにはいられない思いからの創作こそが、詩人にできることだという信念が結晶化したような作品が生れていることです。
その現れ方は多様ですが、そこに共通して
響いているのは「心の感動」です。作者の書かずにはいられない思いが、
詩の花となり咲く姿は美しいです。
アンソロジーの編集後記にあるように、
思いを詩のかたちの花束にするのが詩人です。この花束に耳を澄ますと、
銀河の声、心の声、ふくしまの声が響いていることを知ります。
悲しみも喜びも祈りも願いも怒りも、詩句の姿でふるえながら、読む者の心を揺り動かしてくれます。気付かずにいた心のこだまを自然に感じとらせてくれます。
私が尊敬してやまない、広島の原爆を経験した、
原民喜や峠三吉もまず、ズタズタの、生の、表現を書きとめました。
そのうえで、そこから彼らは、生きようとしました。苦しんでいる人たちとともに生きることを願い、詩人としていのちをかけて、
美しい創作、詩を書き続けました。詩人にはそれができる、そのように生きるのが詩人だと私は学びました。
このアンソロジーには、
詩人の魂、心の声が織りこめられた感動の花、こころの花、言葉の花、美しい詩が咲いています。
私の感性によく響いた好きな作品名と詩人名(敬称略)を以下に書きとめます。
「あなたがたは」 有我祥吉。
「十二月 風たちは言った 知らなかったと」 内池和子。
「悲/怒」 小田敬二。
「桃源郷」 木戸多美子。
「爪/年の暮れ(平成二十三年)」 久間カズコ。
「新地駅/無題」 古関久美子。
「飯舘村を越える」 斎藤和子。
「576は祖母の匂い」 斎藤久夫。
「思うに、希望とは」 齊藤貢。
「傷痕」 坂ひろみ。
「老木」 澤田和子。
「七か月」 松棠らら。
「除染」 鈴木洋。
「どろどろ」 鈴木八重子。
「海の墓標」 田中絹子。
「光る文字が」 二階堂晃子。
「これは「人間」の名だ」 廣川秋男。
「もうひとつの恐怖について」 前田新。
「一生懸命」 牧一人。
「故郷へ帰れる―避難の老人と息子の話―」 三星賢二。
「喪桜」 若杉縷縷などです。
他の作品により強く感動される読者もきっといるかと思います。アンソロジーそのものが、多くの方々にお読み頂ける機会がこれからあることを願ってやみません。
☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』は2012年
3月11日、
イーフェニックスから発売されました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。
イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩のコラボをぜひご覧ください。
こだまのこだま 動画 ☆ こちらの本屋さんは店頭に咲かせてくださっています。
八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、書泉グランデ、紀伊国屋書店新宿南店、三省堂書店新宿西口店、早稲田大学生協コーププラザブックセンター、あゆみBOOKS早稲田店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊国屋書店渋谷店、リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。 ☆ 全国の書店でご注文頂けます。
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