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愛の詩(二)。山下佳恵の新詩集『海の熟語』から。

 私は、詩は愛、だと思います。けれどいま、詩集は毎日出版されても、愛の詩に出会い、こころゆれ、感動することが少ないことを、さびしく、悲しく思っています。

 私も参加している小さな詩誌『たぶの木』に作品を寄せられているお二人の詩人、田川紀久雄と山下佳恵がこの秋、新詩集を出版しました。
 田川紀久雄詩集『寄り添う』、山下佳恵詩集『海の熟語』です。それぞれの個性が、豊かな表情で自由にのびやかに詩の花となって美しく哀しく咲いています。

 こころ揺れる愛の詩が咲いています。それぞれの花園から、一輪ずつ、私の好きな、愛の花を紹介します。

 今回は、山下佳恵詩集『海の熟語』から、せつなく愛(かな)しい、愛の歌です。
 この詩集は作家・詩人の神谷恵ブログ「天上に吹く風」でも、他の詩作品を織り交ぜより深く紹介されていますので、ご覧ください。(クリックでお読み頂けます)。
               現代詩の花束 「海の熟語」編


逢い夢見て咲く 彼岸花
            山下佳恵


逢いたくて
逢いたくて
逢いたくて
逢えなくて
恋こがれて
赤く真っ赤に燃える花

逢えなくて
逢えなくて
逢えなくて
逢いたくて
空に届けと伸びていく葉
赤い夕日を夢見るあなたに重ねながら

花は葉を恋い
葉は花を恋う

相い思い
逢い夢見て咲く赤熱の花
彼岸花
愛夢叶わぬ夢
悲願花


出典:『山下佳恵詩集 海の熟語』(山下佳恵、2013年10月、潮流出版社)

 次回から時間を古代まですこし遡り、敬愛する愛の詩人オウィディウスの『変身物語』をみつめます。


 ☆ お知らせ ☆

 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。
(A5判並製192頁、定価2000円消費税別途)
☆ 全国の書店でご注文頂けます(書店のネット注文でも扱われています)。
☆ Amazonでのネット注文がこちらからできます。
    詩集 こころうた こころ絵ほん

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。
絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
    こだまのこだま 動画  

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「純心花」
2022年イーフェニックス
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年イーフェニックス
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年土曜美術社出版販売
「愛(かな)」1993年土曜美術社出版販売
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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