新しい詩とうたの本
『こころうた こころ絵ほん』2012年
3月11日発売。 A5版並製192頁。
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発売日にお届けできます。 詩集 こころうた こころ絵ほん 今回は、この本にお言葉を寄せてくださいました
作家・詩人の崎本恵(神谷恵)さんをご紹介します。
崎本さんは、熊本県生まれ、これまでの執筆生活を代表する著作に、
詩集『てがみ』(1993年、本多企画)、小説『家郷』(2002年、新風舎)があります。
著作のほかに地方紙などにも作品を発表し続けられ、2008年から個人文芸誌『糾う(あざなう)』を発行、小説を中心に執筆していらっしゃいます。
崎本さんの作品の主題は、いのち、人間が生きることへの問いです。闘病生活や介護経験の歳月から生まれでた彼女の言葉には、魂を搾り出すような、心の奥底からの、切実で真摯な、キリスト者としての祈りが響いています。
その言葉は美しいけれど冷たいものではなく、社会的に弱い立場に置かれているひとへの、優しいまなざし、励ましとなる温かさが、必ず込められています。
作品の人間と社会を凝視する言葉は、残酷さ、醜さ、痛み、罪、苦しみ、悲しみも、厳しく描かれていますが、生命を生きることそのままのように、作品の時間を歩んでいき辿り着く先には、必ず、ひかり、いのり、本当に美しいといえるもの、の姿が、求めずにはいられない指先がのびてゆく向こうに、ふるえ浮かびあがっていると感じることができる、素晴らしい作品です。
もう十数年前になりますが、私が初めて出会えた崎本さんの作品は、神谷恵のペンネームで出された
詩集『てがみ』です。読んで感動しました。同時にこんなに心打たれるいい詩集があまり知られていないのはおかしいと、詩が置かれている状況に憤りに近い思いを抱きました。だからいつか必ず、この詩人、この詩集が本当に良いことを、詩を本当に愛し大切にしている人たちに伝えようと思いました。その後私自身の彷徨いから、その思いを実現できない歳月を過ごしてしまいました。
何とか私自身が詩人としての誇りと魂を取り戻し、新しい詩と歌の本
『こころうた こころ絵ほん』を出版するところまで来て、その本にお言葉を寄せて頂くと同時に、今こうして崎本さんのことを書き伝えられることを心から嬉しく感じます。
闘病に苦しまれながら懸命に発行されている
個人文芸誌『糾(あざな)う』には、小説の本当のすごさ、素晴らしさを感じることができる作品が発表されています。彼女の小説を読むと、詩人の私が詩を書くことでできること、小説でこそ深くできることについて、教えられ強く意識づけられます。
私が青年時代に太宰治の『トカトントン』や『斜陽』に心揺り動かされたのと同じ深さの感動を、今崎本さんが書き伝えてくださっています。
私は『糾(あざな)う』2号で発表された
『天上に吹く風』という小説がいちばん好きです。読みながら涙が流れます。戦争の加害者としての側面を直視した
『時の疼(いた)み』や、いのち、人間の生と死のあわいと時を深く描ききった
『泥の、記憶』など、様ざまな視点、手法、テーマでの優れた小説を生み出し続けていらっしゃいます。
崎本さんの作品がひとりでも多くに方の心に届くことを、私は願ってやみません。
後日別の機会に崎本さんの詩集『てがみ』をとりあげ、詩について掘り下げて考えたいと思っています。
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