新しい詩とうたの本
『こころうた こころ絵ほん』2012年
3月11日発売。 A5版並製192頁。
好評予約受付中です。 全国書店での注文。Amazonのネット注文。出版社イーフェニックスへの直接Fax(046-293-0109)。 いづれの方法でも予約して頂けますと、
発売日にお届けできます。 詩集 こころうた こころ絵ほん 今回は、私がこの本を通して作品で伝えたいと願っていることと木魂しあう詩想が書き記されている、試論集を2回に分けてみつめ、私の詩想を共鳴させます。
詩書の出版社コールサック社で精力的に編集、批評、詩活動をされている
詩人、佐相憲一さんの詩論集『21世紀の詩想の港』(2011年12月、コールサック社、2000円)です。
400頁近いボーリュームのあるこの本には、詩についての考察、佐相さんご自身の生き様、多様な詩人、詩集、詩誌についての批評とエッセイが収録されていて、いろんな読み方ができる豊かなものです。
私がこの詩論集の最も優れたところ、良さだと感じるのは次の点にあります。
現在の日本の文化での詩の位置がほとんど無視されているか、一部の偏向した詩だけがマスコミと通じている枯れた状況を憂い、時に怒りつつ、けれどそこから語り出す彼の提言は、とても建設的で、
多様な詩、詩人への共感力に満ちていて、詩が好きだ、詩が豊かになってほしいという思いが強く伝わってくることです。
今回はまず、この本が共感力ゆたかな詩の批評であることが最もよくあらわれでている「現代詩の新たな可能性をもとめて」と題する批評を通して考えます。
1.共感力ゆたかな建設的な提言
佐相さんの提言の良さが光っていることを、裏返すと、現在までの著名な批評屋が閉鎖的で排他的で独善的で偏狭な楽屋裏の文章しか書かず詩を貧しくしてきた、と言えます。
「現代詩の新たな可能性をもとめて」で、佐相さんは、詩とは何か、と考えるとき、次の四つの立場が主流なものとしてある、それは、
①「詩とは感動である。」とする立場
②「詩とは批評性である」とする立場。
③「詩とはイメージである。」とする立場。
④「詩とは言語操作である。」とする立場。 でも、これらは完全に切り分けることはできないこと、他の多様な捉え方もあることを、きちんと補記した上で、どの立場も間違ってはいない、と言います。
どれも重要な詩の要素だ。それぞれの立場の詩が良い作品を生み出して、詩が豊かになればよい、という趣旨の共感性に満ちた、前向きな提言をします。私はとても良いと思います。
私自身は、①の立場に主軸を置きつつ他の要素も併せ持ち表現するものですが、現在の詩壇、詩界と称されるところでの主張が④と③だけに偏向していて、それ以外は詩じゃないと驕り、感動や、批評性や、社会性を核とする詩は、劣ったものと見做すような傾向があることに、反論したい想いがあり、時に強く主張します。でもどれも詩を豊かにする要素で私自身の作品にもあり、詩がゆたかであるためには大切なものだと考えています。私があえてもう一つ強調するために付け加えるとしたら、
⑤「詩は音楽、歌である」とする立場です。
少なくとも詩を書き、詩が本当に好きな人なら、もっと豊かに伝えていくために、狭い世界でのいがみ合い、流派争いの繰り返しではなく、佐相さんの言葉に耳を傾けてほしいと感じます。
次回もこの詩論集を通して私の詩想を記します。
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