エゴン・シーレは痛い。ランポーに似て、非情、他者にも過酷。シーレを教わった坂崎乙郎から手渡されたもう一つの真珠は、深井克美。彼の絵「オリオン」を私は第一詩集『死と生の交わり』に一葉としたかった。今も絵のコピーをずっと自宅の詩集に挟んでいます。純粋魂。そばの人を傷つけずにいられないけれども、そのようにしか生きられない人の魂の。深井克美は自分とともに、生んでくださった、母の心まで殺すこと、愛してくれる...
久しぶりに絵画展に行きました。エゴン・シーレ展。画家が真向きあい描いた生の線描と重ねた絵の具の波うつ構図の魅力に惹かれるとともに、絵の前に立ちどまり眼差しを向ける人はやはり好きだなと感じることができました。読書する人を好きなのとおなじほど。エゴン・シーレは、亡くなった坂崎乙郎が大学での(聴けて本当に良かったと心底思えた唯一の)講義で、その描かれた線の、誰にも描けない、繊細さを、酔いしれるように熱く...
ショパンはバラード第一番が、燃えあがる情熱の美しさにうたれ、ずっと好きです。年齢を重ねてしまった今は、ソナタ第3番が 、狂おしいほどの、穏やかな、限りない美しさと、あきらめもまじりあう、花のやわらかな優しさに、生きるための、いのちを蘇らせられて、ふかくたいせつな、音楽です。夜想曲ノクターンの、素朴で純な美しさに、惹かれずにはいられないのと、おなじほど。ショパンのソナタ第3番、わたしはこの方、メジュー...
好きな言葉ハモられる音楽、歌を聴くと1970年頃から、 詩と表現にこめる想いの切実さは、歌詞にとられたのだと思う。わたしは曲に言葉を載せられないし、載せられる言葉では伝えられないので、切実に曲に載せられない言葉を、どこへともなく向けて奏でたい。アコースティックギターを抱き抱え指を傷めていた頃。アルペジオの音の響き合いが、今もとても好き。思えず、望みを捨てた憧れ執着が、ワンダフルワールドなんてお気楽な言...
ベートーヴェンの交響曲、5番運命、6番田園、7番のだめ、8番を繰返し聴いて交響曲、合奏は本当にいいと、そして第九の人の声、独唱も合唱も、高めあい創りあう時間の創造は本当に素晴らしいと、しみじみ感じます。7番の、のだめカンタビーレ、第三楽章の、第二主題の、バイオリンの通奏低音、清流のように静かに流れつづける音は、本当に美しいと知りました。(のだめカンタピーレはテレビで見ていませんでしたが、音楽が好きな若...
源氏物語への深い共感に生まれた(返し書きの技巧も)美しい「散らし書き」です。日本語の、縦書きの、かなの書の文字、散らし書きには、流れゆく流されゆくもののささやかなささやき、愛(かな)しみの美があります。散らし書きは紙に余白をふんだんに残した、とても贅沢な書き方です。が、美の感性、感覚に純になってみつめると、早春のユキヤナギ、秋の萩が、小さな星のような花と葉をしなやかにそよ風にゆらめかせるような、自然...
二十歳まえからクラシックはピアノばかり聴いてきましたが、ヴァイオリンの音色と響きの美しさを今になって感じとれるようになりました。ヴァイオリンの協奏曲でメンデルスゾーンは比類ない曲のように思えます。チャイコフスキーも。ベートーヴェンも「悲愴」や「月光」や小曲がいまも好きですが、ヴァイオリン協奏曲、ロマンスもとても美しく、好きになりました。室内楽は扉を開けずにきてしまいましたが、ベートーヴェンの後期の...
ミュシャ展に行けました。絵の向こうからこちらを凝視している女性の瞳が心に焼きつき深く考えさせられます。作品に平和への祈りを込めた絵描き、人間としての生き方にも。アールヌーヴォー作品の女性の姿、曲線もとても美しいです。平和を思い祈る心は、花を愛し優美な姿を絵に描きとめたいと願う心と、通いあう地下水から地にあふれだす泉だと、ミュシャに教えられますミュシャのアールヌーヴォー時代の絵は、与謝野晶子の短歌雑...
大阪・四條畷高校の同窓の、南川和子さんが、第68回毎日書道展の近代詩文書部でわたしの詩をとりあげてくださり、秀作賞を受賞されました。受賞作は、私の組詩『海に、水平線に』の中の「夕暮れ」の第2段落の冒頭部分遮るものも境界もなく見渡せば色彩無限のグラデーション頭の中に浮かんだ、キラキラ輝く雄大な海の情景をイメージして書いてくださったとのことです。東京展の前期展7月6日〜18日(祝)国立新美術館で展示中です。...
新詩集のカバー画像ができました。絵・渡邉裕美。5月30日イーフェニックス発売、税込540円。アマゾン予約受付中です。...
大阪府立四條畷高校で同窓の友人、南川和子さんが、毎日書道展の近代詩文部門で私の詩を書道作品にしてくださり、関西展で8月上旬に展示されました。その写真です。私の詩「小さな島、あおい星の乳房の」の6連目の、次の詩句を選びとり、書の作品として、生まれ変わらせてもらえて、とてもうれしく思います。 星は宇宙の子ども 浮かびまわる水玉 あおい瞳 海と陸の 表情ゆたかなまるみ 美しい球私は専門家ではありませんが...
私の出身校大阪府立四条畷高校で同窓でした南川和子さんが、今年の毎日書道展に入選され、関西展(京都市美術館8/6〜10)で展示されました書を、ご了解を頂きましたので、紹介させていただきます。 私の詩「あい愛」のⅰから詩句を選び、書にしてくださいました。とても嬉しく思います。 詩集『愛(かな)』(1993年、土曜美術社出版販売)所収の詩の、次の冒頭の詩句です。 風にふくらんでゆく少女の ゆめと胸にあ...
高畑勲監督作品の映画『かぐや姫の物語』を観て感動したこと、古典の『竹取物語』を読み返して感じとれた思いを前回記しました。 どちらの作品においてもそのクライマックスである、かぐや姫が月へと昇天する場面の『竹取物語』原文の、前回に続く箇所を引用し、感じとります。 映画『かぐや姫の物語』では、天女たちが迎えにくるこの場面を、日本の古典楽曲の柔らかな美しい調べに包んで描き出しています。かぐや姫と、竹取の...
高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』に感動しました。この美しい作品に感じとれた思いを気ままに記します。 読みはちがっても同じ姓をつづる高畑監督と彼のいろんな作品が私は昔から好きです。たとえば、ハイジなど。『かぐや姫の物語』は予告編で観ようと決めていました。 映画やアニメの評論家ではないので、一人の観客として、私は次のような点に強く印象づけられました。☆ 絵の美しさ 水墨画や、書の筆跡を思わせる、ラフ...
今回は、上野の国立西洋美術館での「システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展―天才の軌跡」で感じとれた想いを記します。 美術館の入り口前庭にある、ダンテの『神曲』に喚起されたロダンの彫刻「地獄門」、人物を拡大した「考える人」に再会して、嬉しく思いつつミケランジェロ展に入りました。 ルネサンスを代表する芸術家ミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)が生きていたのは500年ほどまえ、それほど遠い...
前回に続き、ミュージカル映画の『レ・ミゼラブル』と原作者のユゴーについての詩想です。 私は映画が好きで青年期にはかなりの作品を観ましたが、特にミュージカル、ミュージカル映画は子どもの頃からずっと好きです。『サウンド・オブ・ミュージック』、『屋根の上のヴァイオリン弾き』、『ジーザス・クライスト・スーパースター』は今も心深く宿っています。 『レ・ミゼラブル』は二回観ましたが、涙流れ心洗われます。観終...
画家の渡邉裕美さん(ブログのゆり呼さん)が、わたしの新しいうたとことば色の絵本『こころうた こころ絵ほん』いちめん(カバー、表紙、章扉九つ)に、美しい絵を咲かせてくださいました。 彼女の東京・中目黒での個展が好評につき4月末まで会期延長されました。 微かでとてもひろがりのある色合いの美しい花の絵と抽象画が飾られていて、先着の方は購入して頂くこともできます。 ☆渡邉裕美個展 詳細情報(このリンクから...
画家の渡邉裕美さん(ブログのゆり呼さん)の個展『こころのいろ8』を見に行くことができました。 わたしの『詩集 こころうた こころ絵ほん』いちめん(カバー、表紙、章扉九つ)に、美しい絵を咲かせてくださった方です。☆渡邉裕美個展 詳細情報このリンクから、展示されている美しい絵の写真をご覧になれます。☆期間 4月7日(土)まで。☆展示会場 333(サンズ)Cafe&Diner 中目黒店 東京都目黒区上目黒3-32-5 カーサデ...
画家の渡邉裕美さん(ブログのゆり呼さん)が、わたしの新しいうたとことば色の絵本『こころうた こころ絵ほん』いちめん(カバー、表紙、章扉九つ)に、美しい絵を咲かせてくださいました。 彼女の個展が今、東京・中目黒で開かれていて、美しい絵を間近でご覧になれます。☆渡邉裕美個展 詳細情報このリンクから、展示されている美しい絵の写真をご覧になれます。 個展とタイトルはすでに8。活発な創作力を感じるとともに...
あたらしい詩と歌の本『こころうた こころ絵ほん』は2012年3月11日、(株)イーフェニックスから発売されます。 A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)で、好評予約受付中です。 ☆ 書店での予約注文はこちらです。 発売案内『こころうた こころ絵ほん』 ☆ Amazonでのネット注文はこちらで。 詩集 こころうた こころ絵ほん 嬉しいお知らせです。画家のゆり呼さんの、個展の開催が決まりました。 『こころうた こころ絵ほ...
好きだった、好きな歌です。歌謡と詩歌の交わりの推移について書いていきますが、今回は力をぬいて軽く楽しく、私自身が好きになった歌謡(芸謡)を思い出してみます。歌手名と曲名だけしか記しませんが、その歌を好きな方はそれだけで思い浮かぶと思います。(表記はうろ覚えで不正確です。)☆ 1970年頃。5、6才頃。皆川おさむ「黒ネコのタンゴ」。歌手になりたいとまねて歌ってた。フォーククルセダーズ「帰ってきたヨッパラ...
星の詩についてエッセイを記した心の流れから、冬の夜空に輝く星座のように美しい、思い入れのある一枚の絵画『オリオン』について書きたいと思いました。 私の第一詩集『死と生の交わり』の手持ち本は一冊だけなのですが、その扉に深井克美の絵画『オリオン』のコピーを今も挿んでいます。 美術評論家の坂崎乙郎が深井克美とその絵画を教えてくださり、その著書に掲載されていた白黒写真を拡大コピーしたものです。(余談にな...