これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩にめぐりあいたいと
『日本の詩歌27 現代詩集』(中央文庫、1976年)を読みすすめています。
今回は
小山正孝(おやままさたか、1916年~2002年)の詩をみつめ感じとります。
著者は青春時代に立原道造との出会いもあり、詩誌『四季』の詩風の継承者と解説で紹介されています。また、インターネット百科辞書のウィキペディアにも記事があり戦後は時代の詩風に合わず傍流にいた、という内容が記されています。
時代の詩風というものを私はあまり意味あるものと考えません。詩はあくまで個性から生まれ出る表現だから、はやりの表現に簡単に染まるようなら、まねごとの段階ともいえるからです。
けれど、抒情詩が好きな私が(自分の不勉強は当然ありますが)、小山正孝のような抒情詩人に今日まで出会えずにいたことには、現代詩という流行の固定観念化が悪影響していたと思えて残念です。
これは今、詩があまり読まれなくなったことの大きな要因だと私は感じます。
私は隠されてきた、隠されている、良い抒情詩、心の詩をもっと探し、出会い、伝えたいと願います、
詩はこころを歌うもの。その最も素朴で純粋な姿は、これまで時代と民族、言語を越えて、
抒情詩であり、
愛の詩でした。人間の詩であるかぎり、このことはこれからも変わりません。
倒さの草
小山正孝草むらに私たちは沈んだ
草たちは城壁のやうに私たちをくるんだ
倒(さか)さの草たちのそこの空に白い雲が浮んでゐた
青ざめたほほと細いあなたの髪の毛と
草の根方を辿(たど)つてゐる蟻(あり)と蜘蛛(くも)と
しめつた黒ずんだ土と……
暑い暑い夏の日だつた
あなたとはもう縁(えん)もゆかりもないけれど
今も思ふ
純粋とはあれなんだ
起きあがつた時のあなたの笑顔とすずしい風と
美しいくちびるの色!
この詩には異性を愛しはじめたとまどいと切なさが可憐に咲き香っています。
今回は私の抒情の雪の花を咲かせます。
詩「
雪野原」(高畑耕治詩集
『愛(かな)』所収)。
次回からは出典の本を変え、感動を伝えてくれる詩をさがしみつめたいと思います。
☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年
3月11日、
イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。
イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
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