今回からの4回は、私のとても好きな、大切な詩を書く詩人を見つめ、詩想を記します。
細野幸子(ほその・さちこ)の詩です。彼女は3冊の詩集を出版されていますので、それぞれから、私の好きな花を選びました。
今回は
第一詩集『ガラスの椅子』(1990年、北国帯)から、今日の日にふさわしく届けたい詩です。
この作品をお読みいただけたら、私が彼女の詩をどうして好きか、わかっていただける気がします。
彼女の詩はどれも、私がいちばん詩だと感じる詩です。
とても優しいやわらかなわかりやすい言葉、心の言葉、ささやき声に耳をくすぐられるような。
そうなのに、歌詞でなく、詩なのはただ、詩心の純真さと、詩情の深さ、宇宙の音に耳を澄ます詩人のまなざしの、はるかさと、ふかさ、それだけでじゅうぶんだと、教えられます。
はかなさに永遠を、あこがれ願い求めずにいられない心、愛する心、どこにかあるはずの美しいもの、ほんとうのもの。詩であるかぎり必ずこれらの詩心のかけらは言葉に織り交ぜられていますが、隠され見失われ感じられない作品のほうが多くおもわれる時代に、彼女はいつも変わらず、この詩そのものを純粋なままに、そっと奏でています。
聖夜
細野幸子ハンドベルの
クリスマス・ソングが
綺麗だから
雪のひと夜を
共に過ごしませんか
ひとりぼっちのあなた
聴えませんか
星と星の触れあう音
宇宙のふきだまりで
星屑たちが震えながら
肩をよせあっています
消えてゆこうとする星に
願いをかけるのはやめにして
雪の夜
宇宙の音にそっと
耳を澄ましてみませんか
一瞬をまたたいて
いつの日か
私たちのかえってゆく
その深みに
何処かで
また星がながれて
ほんのすこし
闇がひろがったようです
この世のふきだまりで
震えているあなた
ふたつの淋しさを燃やして
せめて
聖なる今宵……
細野幸子の詩はこちらの私のホームページでも3篇紹介していますので、お読みくださると、詩のハンドベルが心に美しく響き続けると思います。
「プリズム」収録詩集『ガラスの椅子』、「単純作業」収録詩集『三角公園で』、
「ゆきだるま」収録詩集『あの日の風に吹かれて』。 次回も細野幸子の詩をみつめます。
☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年
3月11日、
イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。
イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
こだまのこだま 動画 ☆ 全国の書店でご注文頂けます(書店のネット注文でも扱われています)。
発売案内『こころうた こころ絵ほん』 ☆
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詩集 こころうた こころ絵ほん ☆
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