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司茜の詩。愛と書く。

 詩人の司茜(つかさ・あかね)さんの詩3篇「おっちんして」「二上山」「へいわ」を、私のHP「愛のうたの絵ほん」の「好きな詩・伝えたい花」に掲載させて頂きました。

   司茜の詩「おっちんして」「二上山」「へいわ」  (クリックしてお読み頂けます)。 

詩「おっちんして」は昨年2012年7月に詩誌「山脈 第二次」で発表された新しい作品、詩「二上山」と詩「へいわ」は、詩集『塩っ辛街道』(2010年思潮社)収録作品です。この詩集で第22回富田砕花賞を受賞されました。

 詩「おっちんして」は、詩人が幼少のとき空襲を逃れるため大阪から疎開した若狭の原風景が源にあります。
 なつかしい第二の故郷でのゆったりとした子育ての時を愛情に染められて思い起こす詩句に、若狭に原発ドームが林立している現在への想いが覆い被さります。若狭の海の波の音の「しゃわりしゃわり」という表現はとても美しい音色で私は心を揺り動かされます。
 若狭とそこに生きている人たちを自分を育んでくれた故郷として大切に思い愛する詩人が、いま感じずにはいられず漏らしてしまう言葉「おかしくはない/なさけなく/かなしい」が、私の心に木魂する想いを、痛みを伝えてくれます。ひらがなのかたちも、やわらかな想いの揺れ動きをそのまま、心に注ぎ込んでくれるようです。

 詩「二上山」は関西弁、大阪・河内(かわち)弁の作品です。詩人は大阪現東大阪市のお生まれで、私の故郷は隣ですので、言葉の響きに深い親しみを感じます。
 方言のやわらかな弾む独特なリズムと音の特徴を、会話体の、詩句と詩連に溶かしこみ活かしていて、言葉の音楽が息づいています。口語詩の良さと可能性はこんなところにあると私は思います。

 詩「へいわ」は、展開を織り込んだ詩です。やわらかな言葉で、「へいわって なに」、と身近な人に問いかけ、想いを聴きとっていきます。猫にも尋ねるおかしみに詩人の感受性のやわらかさと、優しい心の温かさを感じます。
 ラジオから流れ聴こえる音声も織り込み今そこで聞いているかのように読者を誘い込んで最後にさりげなく、記す詩人の答え。「私は/半紙に/愛と書く」。とても美しいと私は感じ、感動します。

 今、詩は量産されているけれど、どうしてこんなに「愛の詩、愛の歌」がないのだろう、と私は感じています。大切に思うもの、何ものにも変えられないものを、心に抱いているなら、詩人は「へいわ」を問い、作品に「愛と書く」人であってほしいと私は願います。
 原発ドームの経済効果には決して変えられないものがある、故郷を愛する人から決して奪ってはいけないものがある、悲しんでいる人がいることを忘れてはいけないときがある、そのことを、この詩人は、やわらかな作品で心を暖めるようにして教えてくれます。

 ☆ お知らせ ☆
 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。
 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
    こだまのこだま 動画  
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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「純心花」
2022年イーフェニックス
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年イーフェニックス
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年土曜美術社出版販売
「愛(かな)」1993年土曜美術社出版販売
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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