今回から『日本の詩歌27 現代詩集』(中公文庫、1976年)を読みながら、私がいいなと感じた詩と詩人について書いていきます。タイトルは『現代詩集』ですがより今に近い時に書かれた詩と私はとらえ、それが特定の傾向をもつかどうかは気にしません。繰り返し書いていますが、私は詩の表現は移り変わっても進歩するものとは思いません。古い時代に優れた文学はいくらでも書かれています。 アンソロジーの性格上、選者・編集者・...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、杉山平一(すぎやまへいいち、1914年~2012年)の詩をみつめ感じとります。長く書き続けられた著名な方ですが、『近代詩集』の収録詩をいいと感じたので、詩歴の全体を通してでなく、収録作品に限定させて頂いてみつめます。 この詩人は平明な言葉で詩...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、大木実(おおきみのる、1913年~1996年)の詩をみつめ感じとります。 彼は詩集『故郷』を1943年、昭和18年に出版しています。第二次世界大戦、太平洋戦争のまっただなかです。 そのような時に彼が、次のような、政治や時局に左右されない、ひとりの人...
私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「かもの赤ちゃん」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。 詩「かもの赤ちゃん」 お読みくださると、とても嬉しく思います。 ☆ お知らせ ☆『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日、イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イ...
私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「青い空のあの白い」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。 詩「青い空のあの白い」 お読みくださると、とても嬉しく思います。 ☆ お知らせ ☆『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日、イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)に女性の詩人の掲載が極端に少ないことから前回は考えました。 今回は永瀬清子(ながせきよこ、1906年~1995年)の作品そのものをみつめます。 私の詩作品のなかには、女性が語っている創作作品もあります。太宰治の『斜陽』などと同じように、生れようとする作品にとって自然なふさわしい形と時があるからです。 あたかも男女の性別は受精しはじめてさだまり、胎児となり出生...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、永瀬清子(ながせきよこ、1906年~1995年)の詩をみつめ感じとります。 新体詩・近代詩と詩人を感じとろうとする今回の一連のエッセイについて、私は読みながら順次、良いと感じた詩、好きな詩を紹介してきました。お気づきの方もいらっしゃるかもしれま...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、坂本遼(さかもとりょう、1904年~1970年)の詩をみつめ感じとります。 インターネットのウィキペディアで調べると、この詩人の詩集は『たんぽぽ』(1927年、昭和2年)一冊、彼は23歳です。 その後は、小説集『百姓の話』、童話集『虹、真っ白いハト...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、小熊秀雄(おぐまひでお、1901年~1940年)の詩をみつめ考えます。(彼の作品はインターネットの青空文庫にも豊富に掲載されていて多様な作品を読むことができます。) 前回紹介した岡本潤はアナーキーな表現者として生命力旺盛で長命でしたが、小熊...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、岡本潤(おかもとじゅん、1901年~1978年)の詩をみつめ考えます。 彼は、萩原恭次郎、壺井繁治とともに、未来派を標榜しました。三人の詩を読み、萩原恭次郎の第一詩集『死刑宣告』(1925年大正14年)の詩「愛は終了され」も紹介しようか迷いましたが...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩が心に響きだすのを感じるとき、私は嬉しくなります。 今回は、大木惇夫(おおきあつお、1895年~1977年)の詩を見つめ感じ考えます。私は彼をまったく知りませんでした。インターネットのウィキペディアで調べると、戦時の戦争文学、戦争協力詩を戦後は批判、黙殺された、と記されています。 ほとんどの文学者が戦時...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった良い詩を見つけると私は嬉しくなります。 今回は、生田春月(いくたしゅんげつ、1892年~1930年)の詩を見つめ感じ考えます。 二十歳前後に私は彼の詩集を手元にもって読んでいました。彼は昭和五年に自殺しています。その頃私は生と死の境界線上にいたので、彼の言葉は死にひっぱる力として心に刺さりました。今回この本に掲載...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年、解説・伊藤信吉)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった良い詩を見つけると私は嬉しくなります。 今回は、白鳥省吾(しろとりせいご 1890年~1973年)、宮城県生まれの詩人です。この詩人の名は知っていましたが、作品はまだ読んだことがありませんでした。 伊藤信吉の解説によると、民衆詩派の一人と称された彼は、農民詩、戦争批判の詩を書いています。 「詩人・...
『日本の詩歌26 近代詩集』(中央公論社、1979年、解説・伊藤信吉)を読んでいます。これまで出会う機会のなかった良い詩を見つけると私は嬉しくなります。 前回は武者小路実篤の詩と白樺派について書きましたが、そこでふれた有島武郎が推奨した詩人と出会いました。独学で油絵を学んだという画家でもある中川一政(1893年~1991年)です。 (インターネットで調べると記念館もある方なので、ご存知の方も多く、不勉強な私が...
今回からは、新体詩に続く時代に書かれた詩、近代の詩と詩人を『日本の詩歌26 近代詩集』(1970年、中央公論社)を通してみつめ考えていきます。 この本で最初に印象深く心に響いたのは、武者小路実篤でした。伊藤信吉の解説(以下同じ)によると、彼は1910年明治43年「白樺」を創刊。理想郷「新しき村」を宮崎県日向に1918年大正7年開設しています。 私は彼の小説を中学生のとき読んだ記憶があります。夏目漱石の『こころ...
新体詩、近代詩の黎明期についての雑感を前回書き記しました。 書きもらしたことを、まず補記します。 ●雅語と古語 薄田泣菫と蒲原有明は、その詩に、雅語と古語(既に使われない死語)をちりばめています。泣菫自身が言っているように、日本語による新体詩をより豊かにしよう、語彙を増やそうと意識しての開拓意思によります。 私は試みる意思に共感しますが、この挑戦は失敗だったと思います。 文語は口語と隔たっていま...