前回に続き、
詩人・細野幸子の詩をみつめます。最終の今回も第3
詩集『あの日の風に吹かれて』(2002年、あぜん書房)に咲いている、私がとても好きな詩の花にします。
このいちりんの小さな花の笑顔に、詩の本質が輝いています。
詩が
感受性から生まれる子どもだとささやいてくれます。
花びらのような詩句のきらめきに、色彩の鮮やかさ、手触り、舌触り、やわらかさ、冷たいあたたかさ、五感がいっぱいに呼び覚まされます。
感情の揺れ動きも、風になびく姿のようにとてもゆたかです。こころぜんたいが、不思議になって、驚いて、嬉しくなって、静かに想い、みつめ言葉なくし、ゆらめきます。
「いっしゅん」の想いが溶けてゆくのは、永遠です。
はかなさを痛いほど感じとる感性は、遥かな永遠にふるえています。
「信じられないほど本もので / いたいほどしんじつなのに」
「ゆめのようにとけて / うそのようにきえた」
この詩句は、あわゆきを歌いながら、まるで詩を歌っているよう、人のこころ、いのちを歌っているようです。
あわゆき。詩。こころ。いのち。 美しく響き、ひかっています。
やわらかくやさしくあたたかいひびき。いたいほどしんじつの、うつくしい、こころのことば。
ゆめのよう、うそのように、はかなく、いっしゅんにきえてしまうから、かけがえのないもの、えいえんのこども。
「あわゆき」は古事記から歌われ生き続けてきた美しい言葉。 あわゆきのわかやるむねを。女性の乳房の美しさを歌っています。
私はあわゆきが好き、詩が好きです。
あわゆき
細野幸子ゆき
ゆき ゆき
本当に
ほんもののゆきだろうか
ふわふわ
さわってみる
キラキラ
みつめてみる
ひやひや
ほおばってみる
つめたさが、からだの芯にジーンとしみて
地球のそこをつきぬけた
信じられないほど本もので
いたいほどしんじつなのに
うれしさのあまりほんのいっしゅん
ひとみをうるませたそのすきに
――どうして?
ゆめのようにとけて
うそのようにきえた
☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年
3月11日、
イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。
イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
こだまのこだま 動画 ☆ 全国の書店でご注文頂けます(書店のネット注文でも扱われています)。
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