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愛する。―「愛国」という言葉について。

 「愛する」という言葉は、私にとってとても大切な言葉です。この言葉は、人間であること、人間として生きること、そのように豊かなニュアンスを響かせます。 この大切な言葉が、「愛国」、「愛国心」と使われるのを目にすると、私は悲しく、不快になってしまいます。 なぜでしょうか? 「愛国」。わたしにとってこの言葉が意味することを、書くと次のようになります。 「この東海の島々を故郷に生きている人間ひとりひとりを...

映画『かぐや姫の物語』と『竹取物語』(二)。あはれ。いとほし。かなし。

 高畑勲監督作品の映画『かぐや姫の物語』を観て感動したこと、古典の『竹取物語』を読み返して感じとれた思いを前回記しました。 どちらの作品においてもそのクライマックスである、かぐや姫が月へと昇天する場面の『竹取物語』原文の、前回に続く箇所を引用し、感じとります。 映画『かぐや姫の物語』では、天女たちが迎えにくるこの場面を、日本の古典楽曲の柔らかな美しい調べに包んで描き出しています。かぐや姫と、竹取の...

新しい詩「星のゆき」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「星のゆき」を、公開しました。   詩「星のゆき」   (クリックでお読み頂けます)。 12月24日に公開した詩「クリスマス」の原形です。  原形ですので、素朴ですが、星も、ゆきも、こころも、詩も、素朴な美しさなので、こちらが好きと感じてくださる方もきっといらっしゃると思いました。 お読みくださると、とても嬉しく思います。...

映画『かぐや姫の物語』と『竹取物語』(一)。芸術はこだまする。

 高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』に感動しました。この美しい作品に感じとれた思いを気ままに記します。 読みはちがっても同じ姓をつづる高畑監督と彼のいろんな作品が私は昔から好きです。たとえば、ハイジなど。『かぐや姫の物語』は予告編で観ようと決めていました。 映画やアニメの評論家ではないので、一人の観客として、私は次のような点に強く印象づけられました。☆ 絵の美しさ 水墨画や、書の筆跡を思わせる、ラフ...

新しい詩「クリスマス」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「クリスマス」を、公開しました。   詩「クリスマス」   (クリックでお読み頂けます)。 わたしから、ふたりの、ひとりぼっちの、愛の想いへの、クリスマスの贈り物、ちいさなうたの花です。 お読みくださると、とても嬉しく思います。 次回は、12月27日に映画『かぐや姫の物語』と『竹取物語』についてのエッセイを予定しています。...

新しい詩「月の。女(ひと)に。」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「月の。女(ひと)に。」を、公開しました。   詩「月の。女(ひと)に。」   (クリックでお読み頂けます)。 わたしから、ふたりの、ひとりぼっちの、愛の想いへの、クリスマスの贈り物です。 そして、かぐや姫への告白、ちいさな歌の花束です。 お読みくださると、とても嬉しく思います。 次回は、12月26日に映画『かぐや姫の物語』についてのエッセイを予定し...

赤羽淑の論文から。式子内親王、歌の評価(二)。魂の声が。

 私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。)  源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...

詩誌『たぶの木』9号をHP公開しました。

 手作りの詩誌『たぶの木』9号(漉林書房)を、私のホームページ『愛のうたの絵ほん』に12月21日公開しました。     詩誌 『たぶの木』 9号(詩誌名をクリックしてお読み頂けます。) 漉林書房の詩人・田川紀久雄さん編集・発行の小さな詩誌です。 参加詩人は、田川紀久雄、坂井のぶこ、山下佳恵、高畑耕治です。 今号には作家・詩人の神谷恵が山下佳恵詩集『海の熟語』評をお寄せくださいました。 私は創刊号から9号まで...

赤羽淑の論文から。式子内親王、歌の評価(一)。心ふかく。

 私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。)  源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...

赤羽淑の論文から(一)。『源氏物語』、光、匂、薫。

 私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。)  源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...

好きな言葉「愛のうたの絵ほん」(二)。詩は音楽、絵画。

 前回に続き今回も、好きな言葉「愛のうたの絵ほん」を通して、詩をみつめます。 詩は、白紙に生みだす、言葉の音楽、言葉の絵画。1.詩は言葉の音楽① リズム、音数律の快さ3音+(間)、3音+間、3音+沈黙「のnO」が脚韻のように、がリズム、間(ま)を生み、3行詩のよう。愛の(nO)うたの(nO)絵ほん(n沈黙)最終文字の「ん」「の」NOのように子音+母音ではなく子音nだけ。子音+無音に溶けて沈黙が続くと感じる。...

好きな言葉、「愛のうたの絵ほん」(一)。

 今回は、気楽に書き流しますので、気楽に読み流して頂けたら、嬉しいです。「愛のうたの絵ほん」、この言葉を私は、詩集名にし、十数年してから、ホームページ名にもしています。とても好きだからです。1.意味 好きな語句、詩句が連なっているから。愛、うた、絵、ほん、(絵本)。 突きつつめた凝視する切迫した言葉(たとえば、「死と生の交わり」)が好きですが、対極にある、やさしくあたたかく、生きたいと思える言葉も...

オウィディウス『変身物語』(十一)。野蛮な戦争から、平和的な技芸に。

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の『変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 最終回も前回に続き、ピュタゴラスを通して述べられたオウィディウスの死生観です。 ここには、ピュタゴ...

オウィディウス『変身物語』(十)。ピュタゴラス、殺すことによって生きてゆくとは。

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の『変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 今回と最終回はピュタゴラスを通して述べられたオウィディウスの死生観です。 ピュタゴラスを、最初の菜...

オウィディウス『変身物語』(九)。オルペウスの死

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 今回は、楽人であり詩人であるオルペウスの死です。 私は文学が好きになり詩を書き始めた頃からずっと、オ...

オウィディウス『変身物語』(八)。悲しい吠え声を

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の『変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 二回に分けて、トロイア戦争の敗戦国の王妃ヘカベと、娘のポリュクセナ、息子のポリュドロスの悲劇をみつ...

オウィディウス『変身物語』(七)。女のおまえさえも

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の『変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 二回に分けて、トロイア戦争の敗戦国の王妃ヘカベと、娘のポリュクセナ、息子のポリュドロスの悲劇をみつ...

オウィディウス『変身物語』(六)。悲しみの糸杉

 ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年~紀元17か18年)の『変身物語』に私は二十代の頃とても感動し、好きになりました。「変身」というモチーフで貫かれた、ギリシア・ローマ神話の集大成、神話の星たちが織りなす天の川のようです。輝いている美しい星、わたしの好きな神話を見つめ、わたしの詩想を記していきます。 今回はキュパリッソスの嘆きです。 短い挿話にもかかわらず、鹿と美少年キュパリッソスの糸杉への変身の...

Appendix

プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「純心花」
2022年イーフェニックス
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年イーフェニックス
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年土曜美術社出版販売
「愛(かな)」1993年土曜美術社出版販売
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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