「藤原定家の歌風」(赤羽淑、桜楓社)和歌の調べ。言葉の音楽の美しさの秘密を解き明かす。私もも日本語の詩の創作で心にとめていることなど。定家の歌の雪の美しさの奥深さを、精神の顕微鏡により雪の結晶の映像にまで拡大して見極めようとし変化の無限のまえで立ちすくみつつ歌の美の無限を伝える。「藤原定家の研究」(石田吉貞、文雅堂書店)定家の和歌の根底、種子であるものを、頽唐(たいとう)精神とする。頽廃(たいはい...
赤羽淑『藤原定家の歌風』を読み喚起された私の詩想を記します。対象は、第三章作風、第九節光と闇、この本の最終節です。この節で著者は藤原定家の一首をとりあげ、彼の過去と後年の作品、俊成や同時代の歌人の理解、現在の批評、その文法、古典での用例をとおして読み解き、実証し、さらには藤原定家の思想から中世という時代の思想にまで考察し問いかけています。多様なテーマについての読み取りができる豊かな著作ですので、焦...
平安時代末期から鎌倉時代初期の動乱の時代に生きた歌人、藤原俊成(ふじわら・しゅんぜい、としなり)の和歌から、私の好きなうたを選んで、感じとります。全4回の最終回になります。 俊成は90歳すぎまで長生きをしましたが、最晩年まで、抒情性ゆたかな愛の歌をうたいつづけて生きたことを、私は深く尊敬しています。 出典にない現代語訳をつけることはしませんが、彼の歌は訳さなくても今のこころに響くものです。それぞれ...
平安時代末期から鎌倉時代初期の動乱の時代に生きた歌人、藤原俊成(ふじわら・しゅんぜい、としなり)の和歌から、私の好きなうたを選んで、感じとります。全4回の3回目になります。 俊成は90歳すぎまで長生きをしましたが、最晩年まで、抒情性ゆたかな愛の歌をうたいつづけて生きたことを、私は深く尊敬しています。 出典にない現代語訳をつけることはしませんが、彼の歌は訳さなくても今のこころに響くものです。それぞれの...
平安時代末期から鎌倉時代初期の動乱の時代に生きた歌人、藤原俊成(ふじわら・しゅんぜい、としなり)の和歌から、私の好きなうたを選んで、感じとります。全4回の2回目になります。 俊成は90歳すぎまで長生きをしましたが、最晩年まで、抒情性ゆたかな愛の歌をうたいつづけて生きたことを、私は深く尊敬しています。 出典にない現代語訳をつけることはしませんが、彼の歌は訳さなくても今のこころに響くものです。それぞれの...
平安時代末期から鎌倉時代初期の動乱の時代に生きた歌人、藤原俊成(ふじわら・しゅんぜい、としなり)の和歌から、私の好きなうたを選んで、感じとります。今回から4回になります。 俊成は90歳すぎまで長生きをしましたが、最晩年まで、抒情性ゆたかな愛の歌をうたいつづけて生きたことを、私は深く尊敬しています。 出典にない現代語訳をつけることはしませんが、彼の歌は訳さなくても今のこころに響くものです。それぞれの...
日本の詩歌、和歌をよりゆたかに感じとりたいと、代表的な歌学書とその例歌や著者自身の歌を読み、感じとれた私の詩想を綴っています。『千載和歌集』の撰者、藤原俊成が式子内親王に贈った歌論『古来風躰抄(こらいふうていしょう)』に記された、彼の和歌、詩歌の本質についての想いへの共感を記します。最終回です。 今回引用した箇所での彼の言葉も、歌のほんとうの姿をとらえようとする俊成のまなざしの強さを感じます。歌...
日本の詩歌、和歌をよりゆたかに感じとりたいと、代表的な歌学書とその例歌や著者自身の歌を読み、感じとれた私の詩想を綴っています。 前回に続き、『千載和歌集』の撰者、藤原俊成が式子内親王に贈った歌論『古来風躰抄(こらいふうていしょう)』に記された、彼の和歌、詩歌の本質についての想いへの共感を記します。 引用箇所で、彼のあまりに正直な、あからさまな告白は、日本語の詩歌を創る一人の者として、胸に痛く響き...
『古来風躰抄』藤原俊成(一) 日本の詩歌、和歌をよりゆたかに感じとりたいと、平安時代からの代表的な歌学書とその例歌や著者自身の歌を読み、感じとれた私の詩想を綴っています。 今回からは、藤原俊成が1197年頃執筆し式子内親王に贈った『古来風躰抄(こらいふうていしょう)』です。俊成は、第七代勅撰集『千載和歌集』撰者で、藤原定家の父です。 引用箇所は、俊成の、和歌についての考えが述べられている箇所です。あわ...
私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。) 源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...
私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。) 源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...
私の愛読書『定家の歌一首』(1976年、桜楓社)の著者、国文学者の赤羽 淑(あかばね しゅく)ノートルダム清心女子大学名誉教授が、私の次の二篇のエッセイに目をとめ、お言葉をかけてくださいました。・藤原定家の象徴詩 ・月と星、光と響き。定家の歌 (クリックしてお読み頂けます。) 源氏物語の女性についての著書や、藤原定家の全歌集を編んでもいらっしゃいます。私も愛する『源氏物語』や和歌をみつめつづけ深く感...
藤原定家の和歌のうち私が好きな歌を摘み取り、ここに咲かせます。 本歌取りや物語の言葉が巧みに織り込められた歌を味わうためには調べることがどうしても必要です。そのような歌を悪くは思いませんが、「好きな歌」という野原には咲いてくれないようです。野草が好きな私の好みです。 出典の『定家の歌一首』にちりばめられた数多くの歌から摘み取りました。歌が響かせてくれる主調音を聴き、「月と星」、「花」、「亡き母...
藤原定家(ふじわらのさだいえ、「ていか」。 1162~1241年)の和歌をみつめます。 彼は生涯をかけて和歌に生きました。年齢とともに歌風の変遷はありますが、三十一文字で言葉による虚構の世界を構築しようとした姿勢は一貫しています。新古今和歌集の撰者の一人として、象徴詩と言える領域を先頭で切り拓きました。 でも、本歌取りを多用し、『源氏物語』などの情景や言葉を織り込み違う姿で生き返らせる手法と極められた技術...
これまで詩の調べと言葉について私の思いを記してきましたが、これから数回にわたっては、私が共感し励まされ尊敬する、心に残る先人の詩歌についての言葉を書き留めたいと思います。 今回は、歌という芸術に人生のすべてをかけた親子、藤原俊成と藤原定家の歌論の核心の言葉です。 出典は、『日本詩歌選 改訂版』(古典和歌研究会編、新典社)と、、『やまとうた』(水垣久,ホームページ)です。『やまとうた』はパソコンで読...