記事一覧

ユゴーの詩。一人のいのちを感じる眼。レ・ミゼラブル。

 久しぶりに映画をゆっくり観ました。ミュージカル映画の『レ・ミゼラブル』です。ユマニスム、ヒューマニズム、人間をみつめるまなざしからあふれだす詩心と感動の物語に、とても心打たれます。原作者のユゴーは19世紀フランスの文豪ですが、あらためて底力のある詩人、作家だと感じました。 まず今回は『レ・ミゼラブル』と共鳴していると感じるユゴーの詩を一篇見つめます。 私はこの詩に、ユゴーが人間と生活と社会と世界を...

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フランス詩の哀しいR音(ニ)

 フランス詩との出会いについてのエッセイを以前「フランス詩の哀しいR音」を以前書きました。不勉強だったこともあり、フランス詩を感じとり直したくも思い、読んだ杉山正樹著『やさしいフランス詩法』は、詩のかたちの伝統と変革について丁寧に述べられている優れた本でした。 詩人たちの詩の引用には必ず発音記号が付けられているので、ゆっくり文字を追いながら、ボードレールやヴェルレーヌの言葉の音楽をなつかしく思い起...

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マラルメの詩論(二)美しい姿がおぼろげに。

 フランスの詩人・ステファヌ・マラルメの詩論を前回に続けてみつめます。(3番目の主題からになります。)3.花の観念 純粋な著作の中では語り手としての詩人は消え失せて、語に主導権を渡さなければならない。語は、一つ一つちがっているためにその間に衝突を生じ、語と語はたがいの反映によって輝き出す。それが従来の抒情的息吹き、個人の息づかいや、文章をひきずる作者の熱意などにとってかわる。 文芸の魔法とは、物の...

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マラルメの詩論(一)語の音色。

 ポオの詩論に続いて、彼に強い影響を受けたフランスの詩人・ステファヌ・マラルメの詩論をみつめます。彼の詩「海の微風」は別のエッセイで咲かせています。(La mer 海、フランスの好きな詩)。 出典のマラルメの言葉を、5つのテーマに要約したあと、彼の言葉に木霊する私の詩想を☆印のあとに記していきます。   1.言語の音楽・自由詩(マラルメ詩論の要約) 「音楽」が、この宇宙の万物の相関関係を全部あらわすという...

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ボードレールの散文詩。フランス詩歌の翻訳(二)

 好きなフランスの詩をみつめながら、詩歌の翻訳について考えています。前回は最も「歌」に近いヴェルレーヌの詩歌を聴きとりました。今回は、詩歌の海のより大きな広がりを眺めての想いを記します。 まず、おなじヴェルレーヌの詩歌の日本語訳でありながら詩歌らしい響きを感じる作品、主題と主調はまさしくヴェルレーヌともいえる「憂鬱」です。 なぜ詩歌の響きが感じられるのか? 前回、日本語の脚韻について、「秋の日の(no...

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ヴェルレーヌの歌。フランス詩歌の翻訳(一)

 フランスの好きな詩を感じとりつつ、詩の翻訳についてもう少し考えます。 今回は、上田敏訳『海潮音』で紹介されてからヴェルレーヌの詩歌のうち日本で最も親しまれてきた「秋の歌」です。原題に、Chansonとあることからも、作者自身の心からの「歌」だとわかります。詩の構成をみつめてみると、① 3連の各連とも、6行で同じ。② 3連の各連とも、同じ規則的な脚韻を踏んでいる。* 1行目と2行目、3行目と6行目、4行目と5行目、全...

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La mer 海、フランスの好きな詩

 フランス語のR音の哀しい響きについて記した前回を受けて、私が好きなフランスの詩を咲かせます。 R音の、「ru」より「fu」に近い、吹き出される息だけのかすれた響き、の美しさをもっとも素朴に響かせてくれるのは、私にとってはLa mer「海」です。脚韻での響きあいは、海の波のゆらめき、限りないその果ては永遠です。 この3篇の詩に通いあうものは海、今ここにないものを求めずにはいられない思いです。詩のいのちが生れて...

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フランス詩の哀しいR音

 ここのところ500年くらいの時をさかのぼり歌心の交わりをしていましたが、すこしより近い時代に戻って、このまるい星のうえで海を越えた大陸の歌心との交わりをエッセイに記します。 二十歳前の文学を志しもがいていた頃、私は中原中也のまねをして東京御茶ノ水のアテネフランセというフランス語学校に通いフランス詩を学んだことがありました。象徴派の詩人たち、ランボーやヴェルレーヌの詩、マラルメやヴァレリーの詩と詩論...

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年同上
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年同上
「愛(かな)」1993年同上
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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