ツイートした詩想の、落穂拾いです。
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「建礼門院右京大夫集(けんれいもんいんうきょうのだいぶしゅう)」(糸賀きみ江全訳注、講談社学術文庫)を読みおえました。
こころに響きました。いちばん強く感じたのは彼女がなんどもなんども「かなしい」という言葉でうたっていることです。わたしもにています。
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建礼門院右京大夫集。
かく思ひしこととて、思ひ出づべき人もなきが、たへがたくかなしくて、しくしくと泣くよりほかのことぞなき。
糸賀きみ江訳。
このようにわたしが思っていたことだからといって、あの方の命日を思い出してくれそうな人もいないのが、こらえようもなく悲しくて、しくしく泣くばかりでした。
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建礼門院右京大夫集。
なげきわび わがなからなましと 思ふまでの 身ぞわれながら かなしかりける
悲しい、死にたいと、しくしく泣くばかりの彼女が、出家もできず、それでも生きた姿、伝えてくれた静かなうたに、深くこころをうたれます。
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異常悲哀反応、という言葉にこだわりがあります。彼女をこの言葉で診断することはできるかもしれません。けれど、アウシュビッツや広島や長崎や福島につうじる過酷な、平家の恋人の死に向き合うとき、異常悲哀反応は、人間らしいこころのあらわれではないか?とも、わたしは思います。
沖縄やベトナムやシリアや南スーダン、いたるところ。
異常悲哀反応を失わず、生きたいと願います。
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詩集 『銀河、ふりしきる』 高畑耕治
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書名 「銀河、ふりしきる」 高畑耕治
ISBN 978-4-908112-17-1
出版社 イーフェニックス
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