万葉集と歌人、作者未詳歌も含めて、ながく読みつがれ好きな読者のいる集、歌人の作品は、優れていて読んで良い歌だと自然に感じもするものだと、あらためて思います。
「合本八代集」(至文堂)
古今集から新古今集までの八つの勅撰和歌集の、和歌だけが注も訳なく並んでいます。
後撰集は、小野小町の数首が好きでした。
小町 「後撰和歌集」
心からうきたる舟にのりそめてひとひも浪にぬれぬ日ぞなき拾遺集は、万葉集からの人麿や赤人の歌にひかれます。後拾遺集には紫式部や和泉式部がいます。
いろんな歌があって好みも個人各々であればよいと思っていますが、勅撰和歌集の八代集を通読しおえて、金葉和歌集と詞花和歌集は軽く、撰者の感受力は集の質にあらわれると感じました。
業平、小町のいる古今集、和泉式部の良い歌のある後拾遺に峰があり、深い谷にこの二集はあたり、千載集と新古今集の、高い峰にのぼっていく感じです。
俊成、西行、式子内親王、定家など強い個性と才能のある歌人がいて優れた和歌を書き伝えた時代。
西行 山家集
木(こ)の葉散れば月に心ぞあらはるる深山隠(みやまがく)れに住まんと思ふに
木の葉散れば月に心ぞあくがるる深山隠れに住まんと思ふに三句目
「洗わるる」か「憧るる」か。私はどちらも独立の歌として好き。西行も選びかねた気がします。
「西行全歌集」(久保田淳・吉野朋美 校注 岩波文庫)
式子内親王 新古今和歌集
静かなる暁(あかつき)ごとに見わたせばまだ深き夜の夢ぞかなしき静かなかなしみを響かせる歌は美しいと、感じとれる人の心は好きになれると、式子内親王にはいつも教えられます。
「コレクション日本歌人選 式子内親王」(平井啓子、笠間書院)
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