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現代詩とデモ。言葉としての発信について。

① たまたまWebで見かけた言葉に考えたこと。言葉として発信することについて。

②「自分はニュートラル(中立的)な立場で発信したい。反原発デモに参加しない人の中にも何らかの気持ちのうねりはあるんです。」(2013.3.19 産経新聞[話の肖像画]和合亮一氏)。以下私の考えを記します。

③ 断り書き。和合氏も被災者であり、彼の言葉、作品に共感し励まされている読者がいます。彼個人への批判ではありません。批判すべき人たちについても以下に記します。

④まず、発信媒体に偏向があるとき、産経新聞や読売新聞が現政権に無批判な広報紙化しているとき、無意識であろうとなかろうと、その媒体で発信することは読者から見れば意味を帯びます。たとえば森友学園からの講演依頼を承諾することに意味が生まれるように。

⑤ 広報紙化していることに対して、文化人としての批評精神をもっているなら、発信を断る、あるいは批判意見を何らかのかたちで伝えることが、無批判ではないと読者に伝えるためには必要だと思います。

⑥ 例えれば、いじめ問題がおきている教室で、「ニュートラルな立場で発信」するということは、意図せずに、いじめに加担してしまうことになると、私は思います。

⑦ いじめられている人のそばで、あくまで人間らしくあろうとして表現し発信するとき、ニュートラルなんかでありえない、意識せずとも、いじめる人たちに対しては、たちむかう言葉になると思います。

⑧ 広島の原爆を生きた詩人の、原民喜や峠三吉、長崎原爆で亡くなった永井隆。人間の言葉は、原爆を投下された人たちと、ともにある言葉は、原爆を投下した人たちを、決して許すことはできないと、私は思います。

⑨ みんな人間、みんな良いところも悪いところもある人間。それはあたりまえのことです。そのうえで、いじめた人たちはいて、いじめられている人たちがいます。

⑩ 震災は天災だから、誰もが被災者だけれど、福島の原発事故は人災です。危険を訴え続けている人たちが、事故の前にも後にもいました。いじめている人たちがおり、加害者の組織、企業があり、いじめられている被害者の人たちがいます。

⑪ 沖縄の基地問題の現在の状況にも、この加害者と被害者、いじめは共通しています。

⑫ 著名な文化人のニュートラルな、加害者を無意識に助ける発言より、私はツイッターなどで今も発信し続けてある、無名のいじめられている人たちの、いじめる人たちに向けられた、悲しみと怒りの、非難が混じらずにいられない言葉にこそ、心を揺り動かされてしまう「詩」があると思います。

⑬ 狭い現代詩の村自体が、あまりにニュートラルで、いじめられている人たちに対して無関心、いじめている人たちに対して無批判であることで、いじめに加担していると、私は思います。意識的に加担している人たちも当然います。

⑭ 批評精神とヒューマニズムを喪失した人間らしさのないニュートラルな言葉遊びは、少しも心に響きません。無感動、無表情、気づき、驚かされ、ときめき、学ばされることなんてなんにもない、詩の死です。

⑮ ニュートラルでないとけなされようと、人間であろう。

⑯ 私はひどく孤独を、文学を、美を愛する人間だけれど、だからこそ。現代詩の閉ざされた原発村の檻から抜け出よう。

⑰ 現代詩なんか捨てよ。街に出よう。デモに出よう。こんなデタラメな閉塞した束縛強制だらけの時代にも、少なくともデモには人間がいて、意思があり、生きている思い、心がある。

⑱ 街が苦手なら「気持ちのうねり」で、悲しみと怒りで、心のひとりデモをしよう。できれば発信し、いじめられている人たちには努力して伝えよう。

⑲ 詩がまだ死なずに生き延びられるなら、生まれるのはたぶん、そこから。

⑳ いつの時代も変わらず、人を愛する心から。絶えない詩は、相聞歌、恋歌、ラヴソング、挽歌、鎮魂歌だと、私は思います。

㉑ 努めて、偽善者となり、偽悪社会に、指さされて、生きよう。
死んだら、神様か閻魔様か仏様か宇宙が裁いてくださる。

以上、何よりまず、自戒の言葉として。


☆ 新しい詩集です。

詩集 『銀河、ふりしきる』  高畑耕治
A5判、400ページ。393作品収録。カバー・章扉絵・渡邉裕美。発売イーフェニックス、税込540円。


高畑耕治詩集「銀河、ふりしきる」 絵・渡邉裕美

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プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
Profile:たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪・四條畷出身 早大中退 東京・多摩在住

詩集
「純心花」
2022年イーフェニックス
「銀河、ふりしきる」
2016年イーフェニックス
「こころうた こころ絵ほん」2012年イーフェニックス
「さようなら」1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25
「愛のうたの絵ほん」1994年土曜美術社出版販売
「愛(かな)」1993年土曜美術社出版販売
「海にゆれる」1991年土曜美術社
「死と生の交わり」1988年批評社

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