『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について、考えました。
私は資質的に抒情詩人なので、
言葉の歌、言葉の響きにとてもこだわりがあります。ですから音楽性に乏しい涸れた現代詩に批判的になりがちですが、詩、詩歌が好きだから詩の創作に生きています。
作詞家、作曲家、ミュージシャンを目指さず、詩人であることを選んだのは、詩、詩歌でこそ、私が表現したいことを創作し伝えられるからです。
『歌唱集』を読みながら、なつかしい歌を口ずさみ心がゆれました。やはり歌は心をゆたかにしてくれて、いいな、好きだなと感じました。
そのように感じ歌いながら、詩人として、歌(歌詞)と、詩(詩歌)のあいだにある、表現方法の違いを考えました。書き記してみます。
◎歌(歌詞)と、詩(詩歌)の、表現方法の違い。歌詞の言葉 ⇔
詩の言葉・曲の旋律(メロディー)が主。 ⇔ 曲の旋律がない。
・楽器の演奏、人の声ではない音の魅力がある。 ⇔ 演奏の魅力はない。
・人の歌声は曲との相乗効果で刺激が大きい。 ⇔ 朗読の美しさは刺激の大きさにはない。
・旋律だけで言葉がなくても、くちずさめる。 ⇔ 言葉が必要、なければ何もない。
・平易な意味が発声で伝わる単語を選ぶ。 ⇔ 制約はない。目で見てわかる単語でもよい。
・言葉は引き伸ばされることが多いので単語は短い。 ⇔ 言葉の長短の制約はない。
・曲全体の長さはメロディーとの相互制約がある。 ⇔ 語数、詩行数の制約はない。
・表現できる想念の展開もメロディーに制約される。 ⇔ 想念の展開にメロディーの制約はない。
・同じ単語の繰り返しを多用する。 ⇔ 単語の繰り返しは少ない、自由。
・同じ詩行を一番、二番と繰り返すことが多い。 ⇔ 詩行の繰り返しは少ない、自由。
・単語の音数はメロディーに制約される。 ⇔ 単語の音数にメロディーの制約はない。
・言葉だけでの定数律も自由律もなりたたない。 ⇔ 言葉だけでの定数律も自由律も可能。
・言葉そのものの音は曲に隠され重視されない。 ⇔ 言葉の音、音色、繋がり、強弱、リズム、響きが詩歌。
これは、どちらが良い、というものではないと私は思っています。
それぞれの
芸術の個性です。それぞれの特徴、得意な表現と苦手なところ、最も美しい姿で、最も良く心に伝えることができる方法を探し見つけ感じ伝えるのが創作者ではないかと私は考えています。
言葉による芸術表現に対して感性を磨き続ける芸術家、詩人でありたいと私は願っています。
次回は、この内容豊かな『歌唱集』に収められた素晴らしい歌詞の紹介に、感じとれた私の詩想を織り交ぜてお伝えしようと思います。
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