万葉集巻第十2177、山を詠む 作者未詳
春は萌(も)え夏は緑に紅(くれない)のまだらに見ゆる秋の山かも(後半意訳)
いまは秋、紅に、淡く濃く彩られ、なんてきれいな山なんだろう
原文の漢字も、「緑」、「紅」、季節の水彩画のよう。
万葉集巻第十2291 作者未詳
朝咲き夕は消ぬる月草の
消ぬべき恋も我れはするかもあしたさきゆうへはけぬるつきくさのけぬべきこいもあれはするかも
※「月草ツキクサ」は、「露草ツユクサ」。上代、「夕」は「ゆふへ」。
朝咲いても夕方にはしぼんでしまう露草のように、身も消え果ててしまいそうな恋、そんなせつない恋をわたしはしてる。
(角川ソフィア文庫、伊藤博訳)
ツユクサは幼なじみのように身近にいて親しく優しい小さな、大切な花。
万葉集巻第十、秋雑歌 2159 作者未詳歌
影草(かげくさ)の生(お)ひたるやどの暮陰(ゆふかげ)に鳴くこほろぎは聞けど飽かぬかも物かげの草生い茂る庭先の、夕方のかすかな光の中で鳴いているこおろぎの声は、聞いても聞いても聞き飽きることがない
(伊藤博訳、角川ソフィア文庫他)
共感するばかりです。歌が好きになります。
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